エステのシステム開発

ちょっと熱くなりすぎたので、クールダウンして話を元に戻そう。 集団についてのすばらしい研究をいくつか見ていこう。
老年期に、社会に背を向けず、関わり合いを断たないことがいかに重要かがよくわかる。 こうした研究は数多くあり、哺乳類らしく生きないと悲惨な結果になることを明らかにしている。
二O世紀の初めごろ、微生物病原説が新たに唱えられ、孤児院に無菌の環境を作るというとんでもなく間違った試みが行われた。 最も進んだ施設では、捨て子たちは最新の無菌室に入れられ、どうしても必要な場合でなければ、誰にも抱き上げられたり触れられたりすることがなかった。
大勢が亡くなった。 一九一五年にそのような施設一Oか所を調べたところ、二歳以下の子どもはすべて亡くなっていた。
なぜか。 抱き上げられ、抱き締められ、あやされることが生命維持に欠かせない経験だったからだ。
俗つぽいけれど、愛は生命を救うのだ。 そもそも、人間は哺乳類だ。
人間の子どももウサギの子も同じだ。 別のすばらしい研究では、ウサギをケージに入れ、いくつも高く積み上げていた。

血管内のプラークの生成を研究するためにウサギにはコレステロールなどをいっぱいに与えていたが、予期しない結果があらわれた。 低い段にいるウサギは高い段のウサギよりも状態がよかったのだ。
わかったのは、研究室の人聞が動物を好きだということだ。 さらに、その人間は背が低かった。
手の届くウサギをなでたり、世話を焼いたりしていた。 そのウサギたちは、高いところのウサギにくらべ血管内のブラクが六O%少なかった。
確認のため、高いところと低いところのウサギを入れ替えた。 手の届くようになったウサギたちは、やはり状態がよかった。
原因は、軽く叩いたり触れたりすることにあるのに間違いない。 動物研究を人間にあてはめるのは慎重にしなければならないとハリーは私に言うが、私の考えはこうだ。
誰かにやさしくしてもらっていれば、動脈が詰まるリスクも減るのだ。 あなたも私も哺乳類だから、人間以外の哺乳類と仲良くすることも助けになる。
しばらく前の研究に、心臓発作を起こした患者のうち、犬を飼っている人といない人の予後を比較したものがある。 それによDr.ハリーも前章で触れているように、犬を飼っていない人が二度目の心臓発作で命を落とす確率は、飼っている人に比べて高いという。
この犬と健康に関する研究を読んで、私はさっそく愛犬エンガスにごちそうを買ってきてやった。 エンガスは「そんなこと、今ごろ気づいたのか」と言いたげな顔をしていた。
ほかにもある。 カリフォルニアの転移性乳がんの女性の研究だ。
患者たちはこつのグループに分けられ一方のグループは六週間にわたって週に一度、九O分ずつ集まり、みんなで症状や体調、暮らしのことなどを話し合った。 もう一方のグループについては、互いの接触を禁じた。

一度の会合は長くなかったが、女性たちの聞に親密な結びつきができた。 もっとありていに言うと、彼女たちはお互いに好きになり、気にかけるようになったのだ。
そしてどうなっただろうか?話し合いグループの女性たちは、孤立した女性たちのグループに比べて、その後の存命期間が二倍もあった。 お互いに関わり合うという実にささやかな行為から、実に多くを得たのだ。
まだまだ続く。 さまざまな研究が、孤独だと潰療になりやすいことを明らかにしている。
また別の研究では、未婚男性は既婚男性より心臓発作で死ぬ可能性が二倍、いや三倍になることを明らかにしている。 女性の場合は、ここまで高くはない。
女性は男よりも、友人や家族ぐるみの交際の輸を広げる能力がずっと高いからだろう。 人間どうしの接触や親密感は、健康を保つのに必須だ。

それを欠くと人聞は打ちのめされてしまう。 愛は生命を救うのだ。
世の中はつらいですかっ引退、つまり仲間から離れることはつらい。 そしてこの何十年かのあいだに、この社会が大きく変わり、楽にするどころかさらにつらくした。
私の生涯における大きな社会的変化を考えてみよう。 まずは家族のことから。
私が子どもだった一九三0年代と四0年代は、家族がたしかに存在していた。 大きくて、非常に重要なものだった。
自分が誰で、どこにいるのかがわかっていた。 なぜなら、ほとんどいつも、家族にまるごと関わっていたからだ。
引退を居心地悪くする別の大きな社会的変化は、小さな都市や町の生活の弱体化だ。 私の育ったマサチューセッツ州セラムのような都市は、消えたわけではないが、中身はショッピングモルや大型スーパーやファストフド店によって骨抜きにされてしまった。
私が子どものころはセーラムのような小さな都市は世界の正真正銘の中心だった。 そこに住む人間のために、地元の人が土地を所有し、地元の人が店を経営していた。
私たちは誰でも知っていた。 いや、少なくとも父はそうだつた。
警官、教師、店の人、それに歩道を歩くたくさんの人たちを知っていた。 人々は、現在よりも、同じ場所に住み続けていた。
私の親戚は一七世紀以来、セラムや周辺の町にむしろ全員がそうだつた。 例外が、勇敢なアイルランド人の租住んでいた。
ほとんどがそうだ。 いや、父だ。

祖父は一九世紀にダンバズに行って私たちみんなに新たな活力を与えた。 現在、私はニュヨークにいる。
二人の子どもはウエストコーストに、私の姉妹たちは南部に住み、親戚のうち二人だけがセラムから一00マイル以内に住んでいる。 私は故郷を離れ、今までこうして暮らしてきたことをありがたく思っている。
魅力に満ちた、楽しい世界だった。 だけど、それなりの犠牲はともなう。
私の家族は、他の人よりも少し密にかたまっているのかもしれないが、七O年前は、ほとんどの人が同じ町に住み、私の家族のような形で暮らしていた。 そして私たちはみな離れた。
立ち去ったのだ。 そして国全体を変えた。
私たちは離れて核家族を作り始め、ニューヨークやロサンゼルスのような人間味のない都市へ移った。 見知らぬ人とセックスしたり、さらに金を儲けたりできるところへと。

さらに多くのものも手に入れられる。 仕事以外や少数の仲間以外の人間はあまり知らない。
おかしなことだったのではないだろうか。 今の私たちがピタ・メイルの『南仏プロヴアンスのロか月』(河出書房新社)のような伝統型社会についての本をむさぼり読むのも、それほど不思議ではない。
この本は、誰もがみんなを知っていて、しょっちゅうお互いの生活に出入りしているフランスの一地方についての話だ。 あるいは一北旦問のテレビのホームドラマの再放送を繰り返し見るのもそれほど不思議ではない。
登場人物たちは、豊かな、互いに関わりの深い生活を送っている。 私たちは家族や友人とのつながりを懐かしく思う一方、ひとりだ。
だからやむなく、ひとりでテレビを何時間も見る。 テレビは、親をなくした赤ちゃんチンパンジーをケージに入れ、時計入りのクッションを与えどうするかを見るあの実験に少し似ている。
かわいそうな赤ちゃんチンパンジーは一日中クッションを抱きしめている。 なぜなら、そのクッションには「鼓動」があり、母親ではないかと思うからだ。
そして、どうしょうもなく寂しいからだ。 私たちは、時計入りのクッションを持ったそのチンパンジーのように、テレビで生活を見ている。

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